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(それじゃと何か泊まって行きんちゃいって誘っちょるみたいじゃし、さすがにくるみちゃんも警戒するじゃろ)
そう思って、わざわざ米軍基地から出て、そのまま由宇町がある下り方面に車を走らせず、一旦上る形でくるみの車を取りに来たのだ。
「ええんですかっ?」
なのに、キラッキラの笑顔でそんな実篤の顔を見つめてくるとか……「くるみちゃん、マジか!」と実篤が思ったのも仕方ないだろう。
「いや、く、くるみちゃんこそ……ええん?」
ドキドキしながら問いかけたら、キョトンとされた。
この子には危機感というものはないんじゃろうか?と思ってしまった実篤だ。
(それとも自分がヘタレすぎて〝男として〟認識されてない、とか……?)
怖がらせるのは本意ではないが、男として意識されないのは不本意過ぎるじゃろ、と相反する事柄が実篤の頭の中で拮抗する。
「くっ、車置いたままにしとったらあれよ? か、……」
帰れんなるかもしれんよ?と続けたかったのに、その先が言いたくないのは何故だろう。
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