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(くるみちゃんをお持ち帰りして家に泊まらして……俺、我慢出来るん?)
男だから好きな女の子を抱きたくないといえば嘘になる。
だけど、「欲望のままに手を伸ばすのはダメじゃろ。くるみちゃんは鏡花と同い年じゃぞ!」とブレーキをかける自分がいることも確かなのだ。
「か?」
そんな実篤の迷いを見透かしたみたいにくるみに先を促されて苦し紛れ。
「かっ……、カナリアのフンとか降ってくるかもしれんよ?」
自分でもわけが分からんことを言うてしもぉーたと後悔した実篤だ。
なのにそれを受けたくるみが、至極真剣な顔をして「ここら辺、カナリアがおるんですかっ? 寒ぅて死んだりせんのんですかっ? 早ぉ捕まえて保護してあげんと可哀想です」と眉根を寄せてきたからたまらない。
「あ、……うん。そう、じゃ……ね」
実篤は嘘をつくことの罪深さを身をもって実感しながら思った。
(「か」のつく鳥ならカラスの方が現実的じゃったわぁー! 失敗したぁ!)
と――。
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