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「適当に寛いじょってね」
家に入ってすぐ、キッチンそばの応接室として使っている和室に暖房を入れると、実篤はいそいそとくるみに背中を向ける。
「俺、余分なの冷蔵庫に仕舞ぉて、グラスとか持ってくるけん」
途中くるみとコンビニに寄って買った、結構な本数の酒類の余剰分を冷蔵庫に入れるため、という大義名分を述べてくるみを置いて部屋を出ようという腹づもりだ。
とりえあえずビールを一缶ずつと、ポテチを一袋、応接室のローテーブルに置いてきた。
つまみに、とくるみが買った焼き鳥なんかは一旦台所に持って行って、適当に皿に盛り直して出そう、とか思っている。
(手拭きもあった方がええな)
こう言うところ、実篤は長男気質なので、どうも無意識に甲斐甲斐しく世話を焼く方に回ってしまう。
テレビを付けて、リモコンもくるみに渡しておいた。
その上で、後ろ手に応接室の襖を閉めたと同時。
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