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(じょ、状況を整理せんとっ)
何を今更、なことを考える、中途半端に変身した狼男が廊下にひとり。
そもそもが、だ。
酒を飲もうと言う時点でくるみはココに泊まる気満々なのではないか?と気がついてしまった。
(客用の布団はあるけど、あるけど、あるけどぉ〜っ)
部屋だって余り過ぎるぐらい余っているからどこにだって寝てもらえる。
じゃけど布団を日に当ててない!とかどうでもいいことを思ってしまった。
そのくらい、実篤は情けないぐらいにパニック中なのだ。
ひとりになってアレコレ考えてからでないと、くるみとマトモに向き合えそうにない。
なのに――。
「実篤さん、うちも何か手伝えることないですか?」
くるみはそんな実篤をひとりにしてくれる気はないらしい。
背にしたままの襖がススーッと開いて、くるみがひょこっと出てきてしまう。
「あっ、だっ、大丈夫じゃけっ。くっ、くるみちゃんはそのっ、てっ、テレビでも観よって?」
(お願い!)
心の中でそう付け加えながら、慌ててくるみを回れ右させて応接間に押し戻したら、ふわりと彼女から甘いシャンプーの香りが漂ってきて。
実篤はその香りにゾクッとしてしまった。
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