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(マジで俺、今夜紳士でおられる自信が微塵もないんじゃけどっ)
狼男はコスプレだけに留めたい!
そんな実篤の苦悩など知らぬげにくるみが言う。
「それじゃあうち、お部屋も温ぅなってきたけん、コート脱いで着替えちょってもええ?」
こちらを振り返ってきたくるみが可愛くて、心臓が持ちそうにない。
「えっ? あっ。うん。もちろんっ」
(好きにしてっ?)
心の中でそう付け加えた実篤は、くるみが言った「着替え」がイコール「上着で隠されているコスプレをお披露目すること」だと思い至らない程度にはテンパり中だ。
生返事のようにそう答えたら、
「実篤さんも、沢山あれこれ考えんでええですけぇ、とりあえずうちが渡したん、全部身に付けて見せてくれるんを最優先してくださいね?」
実篤が閉めかけた襖をほんのちょっとだけ押し戻して、くるみが実篤を見上げてくる。
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