5-1.オオカミとウサギさん*

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***  実篤(さねあつ)はくるみの頬に触れた指先をほんの少し動かして、彼女の耳たぶに(かす)めるように触れて。 「は俺に食べられたいんじゃろう? 素直に言うこと聞いてくれんと、凄く(えろぉ)食べ辛いんじゃけど?」  いつもは「ちゃん」付けで呼びかける名前を敢えて呼び捨てにして、スリスリと赤らんで熱を持ち始めた耳をくすぐったら、 「ふぁっ、……実篤(さねあつ)さっ、そこ、ダメぇっ……っ」  くるみがくすぐったそうに首をキュッとすくませて、小さく抗議の声を漏らした。  実篤(さねあつ)はその瞬間を逃さず、くるみのセリフを言葉半ばで封じるように口付ける。  初めてのキスがいきなりディープなものだったからだろうか。  くるみが驚いたようにビクッと身体を跳ねさせた。  それをあやすみたいに口中を優しく舌先で撫でると、おずおずと彼の求めに応じるように舌を差し出してくれて。  そのぎこちなさがたまらなく愛しく感じられた実篤(さねあつ)だ。
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