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実篤はくるみの頬に触れた指先をほんの少し動かして、彼女の耳たぶに掠めるように触れて。
「くるみは俺に食べられたいんじゃろう? 素直に言うこと聞いてくれんと、凄く食べ辛いんじゃけど?」
いつもは「ちゃん」付けで呼びかける名前を敢えて呼び捨てにして、スリスリと赤らんで熱を持ち始めた耳をくすぐったら、
「ふぁっ、……実篤さっ、そこ、ダメぇっ……っ」
くるみがくすぐったそうに首をキュッとすくませて、小さく抗議の声を漏らした。
実篤はその瞬間を逃さず、くるみのセリフを言葉半ばで封じるように口付ける。
初めてのキスがいきなりディープなものだったからだろうか。
くるみが驚いたようにビクッと身体を跳ねさせた。
それをあやすみたいに口中を優しく舌先で撫でると、おずおずと彼の求めに応じるように舌を差し出してくれて。
そのぎこちなさがたまらなく愛しく感じられた実篤だ。
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