5-1.オオカミとウサギさん*

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***  実篤(さねあつ)に一通りお風呂場の使い方を教えてもらったくるみは、実篤(さねあつ)からいわゆる彼シャツというものを借りて。  下着に関してはお泊まり想定で準備していたくるみだけど、パジャマは彼シャツを経験してみたくてわざと忘れて来たのだ。 「ごめんなさい、実篤(さねあつ)さん、うち、うっかりしちょりました」  な〜んて言うのは真っ赤な嘘。  歯ブラシもメイク落としもお化粧も、愛用のシャンプー&トリートメントのトラベルセットでさえも……。他は何もかもしっかり鞄に入れてあるのに、パジャマだけ忘れるわけがない。  でも実篤(さねあつ)は恋人を疑うことを知らないところがある男だから、くるみの小悪魔的策略にまんまと騙されてくれた。 「ええよ、ええよ。気にせんちょって? 俺の服で良ければいくらでも着てくれて構わんけん」  むしろ嬉しいくらいじゃけぇ、とロングシャツやらTシャツやらトレーナーやらアレコレ出してくれて。 「どれでも好きなん持ってって?」  とか。
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