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それで、かの祭りの日、何故冒頭みたいなことになったかと言うと――。
国道沿いの郵便局裏の「イベント・出店広場」で揉め事があると本部――郵便局内に設置――に連絡が入ったのは実篤が遅くなってしまった昼休憩に、出店で何か買ってきて食べようかな?と思っていた矢先。13時過ぎのことだった。
出店広場では地元岩国の酒蔵が集まって、「地酒広場」も開設中で。
どうやらそこで飲みすぎた人間が、すぐそばで出店していた若い女性に絡んでいるとか何とか。
「栗野さん、お願いできますかね?」
自分よりひとまわりちょっと年上の、女だてらに本部を統括する本部長から直々にそう頼まれて、実篤は落ちつけたばかりの尻を椅子から持ち上げる。
警察には連絡済みだけれど、距離的に言ってすぐ裏だし、絡まれているのが若い女の子ということもあって、緩衝材になれそうならなってあげて欲しいということだった。
同じ女性ならではの視点というのだろうか。
「ひとりでいる所を酔っ払いに絡まれたらアタシでも怖いけぇ」と吐息を落とされては、男として動かないわけにはいかないだろう。
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