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「生憎、栗野さん以外の人間は、みんな違う場所に出払っちょって、携帯で呼び戻しても駆けつけるのに時間が掛かりそうなんですよ。ホンマ戻って来たばかりんトコ悪いんじゃけど」
と眉根を寄せられては、断れない。
「頼んじょいてあれじゃけど……怪我しないように気ぃ付けて下さいね。それとっ。くれぐれも栗野さんから手ェ出さんよぉーにせんとダメですよ?」
本部長にそう言われて「ご武運を!」と至極真面目な顔をして送り出されたけれど、「絶対そんなこと思っちょらんじゃろ?」と思わず苦笑の実篤だ。
実篤は、自分でも自らの見た目が怖いのを自認している。
身長こそそんなに高い方ではないけれど、きっと顔つきが怖いのだ。
事務所の女性陣にも言われたけれど、身に纏うオーラがいけないらしい。
大抵の場合は実篤が行って睨みをきかせれば相手が怯んで逃げてしまう。
自分に急行を頼んだ本部長も、それが分かっていて指示を出したはずだ。
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