5-1.オオカミとウサギさん*

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 寝室と違って居間にはテレビもあるし、考えてみれば寝室で待つのは「いかにも今から致す気満々です!」と構えているようで、実篤(さねあつ)自身でもハードルが高いように思えた。  そんなことを思いつつ、実篤(さねあつ)が応接室兼居間の(ふすま)を開けたら――。 「しゃん、(おしょ)ぉーい! うち、待ちくらびれましたけぇ〜」  部屋の中からまろび出るようによろめきながら出てきたくるみに、何の前触れもなく真っ正面からギューッ!とハグされてびっくりしてしまう。 「くっ、くるみちゃん?」 (ちょっ、待っ。え!? ――酒っ?)  見れば、寝室に移動する前に居間のテーブルに載せておいたビールが二缶、開封されて机上に転がっている。  なのにつまみ――ポテトチップス――の袋を開封した様子はなくて。 (くるみちゃん! 空きっ腹に酒入れたんかぁー!)  思わず心の中で叫んで天井を仰いだ実篤(さねあつ)だ。
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