5-2. 桃色狼とほろ酔い兎*

3/46
前へ
/470ページ
次へ
 そもそも酔っ払いのやることに意図なんて見出せるわけがないのだ。 (まぁ案外飲んでくれちょる方が緊張も(ほぐ)れて痛みとかあんましないかもしれんし……そう考えたらある意味怪我の功名(こうみょう)よな?)  なんて、屈託のない表情で実篤(さねあつ)の腕の中に収まるくるみを見下ろしながら、頭の中はで一杯に染められていく実篤(さねあつ)だ。本当(ほん)に男の(さが)というのは(ごう)が深い。 「いっぱい待たせてごめんね。気持ち悪ぅない?」  ホワホワと気持ち良さそうではあるけれど、空きっ腹にやらかしていることが気になって問い掛けた実篤(さねあつ)に、「全然(じぇんじぇん)」とくるみがにっこり笑う。 (かっ、可愛すぎるっ!)  いつも小悪魔で実篤(さねあつ)翻弄(ほんろう)しまくりのくるみだけれど、今のくるみは無防備百%で、通常の可愛さの九割増し以上。  警戒心なんて皆無で、ギュウギュウと身体を実篤(さねあつ)に押し付けてくるのが堪らない。  しかも失念してはいけないのがくるみの服装! (彼シャツ、有難う!)  つい実篤(さねあつ)が心の中でガッツポーズをしたのも無理はない。
/470ページ

最初のコメントを投稿しよう!

897人が本棚に入れています
本棚に追加