5-2. 桃色狼とほろ酔い兎*

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「奇遇れしゅね〜。うちも(ちぃ)しゃい頃から(おんな)じように言われて育ちましたぁ〜」  そこでくるみはニコォ〜っと極上の笑顔を浮かべると、 「価値観の合う(ひろ)とは長続(ながちゅじゅ)きしゅるらしいれす♡」  そう言ってギュッと実篤(さねあつ)にしがみついた。 「大好(らいしゅ)きれしゅ。実篤(しゃねあちゅ)しゃんのそういうマメなとこりょ……」  そこで一旦言葉を止めるとスリリッと実篤に身体を擦り寄せて、 「それからうちを大事(らいじ)(あちゅか)ってくれりゅ優しいとこりょも、凄く(ぶち)凄く(ぶち)凄ぉ〜く(ぶぅ〜ち)! 大好(らいしゅ)きれしゅ!」  そんなことを間近で可愛らしく顔を見上げられて言われたら、堪らないではないか。  ごくん、と生唾を飲み込むと、実篤は 「くるみちゃんっ!」 「ひゃぁっ!」  彼女の名前を熱い吐息と共に吐き出すなり、くるみを先ほどのように横抱きに抱え上げて大股に寝室を目指す。 「ごめんっ。さすがにもう(はぁ)我慢の限界じゃわ!」  結局で運ぶ羽目になってしまったのは、ここだけの話――。
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