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「実、篤しゃ……、苦しぃん?」
まだ酒が抜けきっていないくるみが、トロンとした表情で食い入るように彼女を見下ろす実篤を見上げてきて。
恐る恐る伸ばされた手が、気遣うように実篤の頬に触れた。
息がうまく出来なかったことで呼吸が乱れ、忙しなく上下するくるみの胸を手のひらの下に感じて、実篤は優しくしたいのにその柔肉をギュッと力任せに掴んでしまいたい衝動に駆られる。
それを必死に抑えながら、「くるみちゃん、下、触ってもいい?」と問いかけたら、ポヤンとした瞳で「した?」と繰り返された。
きっとくるみにはいま自分が発した言葉の意味が、半分も伝わっていない。
そう判断した実篤は、くるみの首筋に口づけを落としながら耳元でささやく。
「くるみちゃんの敏感なところに触れる許可を頂戴……?」
言いながらチュッと耳朶を食んだら、「ひゃぁ、……んっ」とくるみが首をすくめて。
「ね? お願いじゃけ、ええよって言うて?」
くすぐったそうにイヤイヤをするくるみの耳に、わざと吐息を吹き込むようにして畳み掛けたら、彼女がその刺激から逃れたいみたいにコクコクとうなずいてくれた。
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