898人が本棚に入れています
本棚に追加
そんなことにはしないと誓いたいところだが、情けないことにくるみの小悪魔ぶりを思うと、実篤は若干自分のことが信用出来なかったりするのだ。
「ひゃいっ! 分かりましらっ! うち、ちゃんとお勉強しますっ」
言って、くるみが実篤の一挙手一投足を食い入るようにじっと見つめてくるから。
(わー、俺、馬鹿なんっ⁉︎ くるみちゃんの視線が物凄い気になってうまく封が切れんのじゃけどっ!)
緊張の余り、手がフルフルと震えて、パッケージが上手に破けないではないか。
そもそも、利き手がくるみの中に入っていて不在中。
開けようと思ったら元々不器用な左手と、口を使うしかないわけで。
中身を傷つけたらダメだと思ったら、グダグダぶりに拍車がかかる。
「あ、あにょ……実篤しゃ。――うち、やってみたい……」
モタモタしていたからだろうか。
くるみが不意にゴムを持った実篤の手をギュッと掴んできて、そんなことを言い出した。
最初のコメントを投稿しよう!