5-2. 桃色狼とほろ酔い兎*

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「うぁー、ホンマ俺っ、くるみちゃんのこと、(あなど)っちょったわぁ〜! ここまでとは思わんかったけん」 (え? それ、どう言う意味なん?)  くるみが実篤(さねあつ)の言葉に不安になりかけたところで、「マジで、キミはどんだけ小悪魔なん? 正直(ぶっちゃけ)ヘタレな俺にはもったいなさ過ぎるんじゃけどっ」と、どこか嬉しそうに微笑まれて、思わず「へ?」と間の抜けた声が漏れた。 「小悪魔(こあくみゃ)? うちが?」  まさかそんな風に思われているなんて思わなかったくるみだ。 「心外れしゅ」  言ったら「無意識なんがまた最強すぎるじゃろ」と苦笑されて。 「くるみちゃん、ホンマにやりたいん?」  真剣な顔をした実篤に、手にしたゴムを指さされる。  くるみは実篤の視線を真っ向から受け止めると、生唾を飲み込んでコクッとうなずいた。 「ほいじゃあね、まず裏と表の見分け方から」  実篤に言われて、くるみは〝なるほどぉ〜〟と思いながら丸められたゴムを、裏表を間違えないようにして実篤の(たかぶ)りに押し当てる。  くるみがやりやすいようにだろうか。実篤は根元に向けて引っ張るように〝自身〟を支えてくれていて。  実篤の指示通り、薄ピンクの皮膜の、チョンと突き出した先端――精液溜まりと言うらしい――を指でつまむようにして押さえてから、屹立(きつりつ)に沿ってクルクルと引き下ろして行く。 (これ、裏返しじゃ、うまく下ろせれんのんじゃー)と感心しながら。  初めてのことにやたらと真剣になっていたからだろうか。  男性のイチモツを間近に見て、あまつさえ触れまくっているという感覚がポーン!と抜けていたくるみだ。  もしかしたら、お酒の力もあったのかも知れない。  正直いうと、実篤の方が照れ臭かったりしたのだけれど、そこはまぁ歳上の男として何とか表には出さないよう頑張った、というのはここだけの話。
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