5-2. 桃色狼とほろ酔い兎*

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「気持ち、ええ、だけ(らけ)?」  くるみが恐る恐る問いかけたら、実篤(さねあつ)は「うん」と頷いて。  くるみは心底安心して頬を緩める。  と、恐らく無意識に緊張してギュッと締め付けてしまっていたの力も緩んだらしい。  実篤が小さく吐息を落として「ね、くるみちゃん、動いても……ええ?」と(うかが)うように問いかけてきた。 「――? そうしたりゃ……実篤(しゃねあちゅ)しゃ、いまより気持ち良く(よぉ)なりゅ?」  実篤の、ご主人さまの「よし」を待っているような表情にキュン、ときながらそう聞いたら、「うん、凄く(ぶち)……」と熱に浮かされた表情のまま返ってきて。 「実篤(さねあちゅ)しゃの好き(しゅき)にして? うち、実篤(しゃねあちゅ)しゃを沢山(たくしゃん)気持ちよぉさせたい……」  そこでさっき、実篤に「『もっとして?』って言って」とおねだりされたことを思い出したくるみだ。 「お(ねぎゃ)い、もっと……して? うちに実篤(しゃねあつ)しゃを……いっぱいいっぱい感じしゃせて?」  上目遣いで実篤を見上げるようにしてそう言った途端、中に収まった〝実篤〟の質量がグン!と増したのを感じたくるみだ。 「ひゃっ」  と驚きの声を出したと同時、「小悪魔め!」と実篤が吐き捨てるようにつぶやいたのが聞こえた。
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