6-1.年末年始ハプニング①

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「迷うちょるっちゅーことは……行きたい気持ちが割と(わりかし)あるっちゅーことじゃろ? (なん)がネックになっちょるん?」  くるみは朝が早い。  日取りによっては仕事に支障をきたすから行けないとかいうこともあるだろう。  だけど。  実篤(さねあつ)が見ている葉書に書かれた開催日時は、十二月二九日(木曜日)の二〇時(はちじ)からになっていて。 「くるみちゃん、仕事納めいつ?」  一応参考までに聞いてみたら「水曜がお休みなんで、今年は二七日にしようかと思うちょります」と返ってくる。  ちょうど実篤の不動産屋(かいしゃ)も水曜が定休日の関係で、くるみと同じように考えていて、『年末年始のお知らせ』として「十二月二八日(水)〜一月四日(水)までお休みとさせていただきます。新年は一月五日(木)十時より通常営業いたします」という貼り紙を作ってくれるよう、先日総務の田岡に指示を出したところだった。 「それなら(ほいじゃあ)日取り的にも問題なさそうよね? 行くの迷うちょる理由はそれ以外?」  いつものようにワンコのモフモフスリッパを出されて、それに無理矢理足を通しながら問うたら、くるみが微妙な顔をする。  彼女の足元も、いつも通りウサギのモフモフスリッパが包んでいた。
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