6-4.焼けぼっくいに火はつくか?

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(のっ、ノンアルコールって言う(っちゅう)より(みじこ)ぉーてええじゃん?)  実際はそう意識している時点でダメなのだが、そこには目をつぶることにした。 「このホテルのラウンジにもあるんじゃろうか」  わざとらしく〝モクテル〟を使って独りごちたところで、正面フロント内にいるスタッフと目が合って、実篤(さねあつ)は内心『見られちょった!』とドギマギした。  ホテルに入るなり、どこに向かうわけでもなく、ロビーのど真ん中で迷子のようにスマホであれこれ検索していたら、確かに不審者ではないか。  ましてや自分は自他共に認める強面顔(こわもてがお)だ。  今日はスーツを着ていないから大丈夫だと思いたいが、もしかしたら堅気(カタギ)っぽく見えていない可能性だってある。 「あの、お尋ねしたいんですが……」  結局その重圧に耐えられなくなった実篤は、フロントに近づくと、先程視線が絡んでしまったフロントマンに声を掛けた。
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