6-4.焼けぼっくいに火はつくか?

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 そんなことを懸念しながらそこまで話して、通話口を押さえながらくるみの耳元。「俺、鏡花(きょうか)を捕まえて家に帰して来るけん、くるみちゃんはここで良い(ええ)子して待っちょってくれる?」と(ささや)いた。  今鏡花に話した言葉で、てっきり一緒に行けると思っていたんだろう。  くるみは一人にされると知って、一瞬だけ不安そうにギュッと実篤(さねあつ)の服を握って。  それでもすぐに気持ちを切り替えたみたいに気丈にもコクンと(うなず)いた。  それを見た実篤は、胸がギュッと締め付けられて、急きょ路線変更を余儀なくされる。 「やっぱり一人にしちょくんは不安じゃわ。外に出るん、今は怖いかも知れんけど俺が守るって誓うけん。ごめんけど一緒に来てくれる?」  小声で落とされた実篤の言葉に、くるみがパッと瞳を輝かせた。 (俺が一緒に()りゃあ、もし途中で鬼塚(やつ)出会(でお)ーても何とかなるじゃろ)  とりあえず、今は一刻も早く鏡花を捕まえることを優先しよう。  鏡花さえ無事だと分かれば、きっとくるみも心から安心出来るはずだから。  くるみと手を繋いで、たったいま入室したばかりの一三〇一号室を後にしながら、実篤はそう思った。
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