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兄の指示通り電話を繋げたまま、周りに気付かれないよう、心の中で密やかに小さく吐息を落とした鏡花だ。
と言うのも――。
*
くるみから離れて御手洗いに行って、さぁ戻ろうと思った矢先、見知らぬ――いや、どうやら名札から察するに同窓生のようだから本当に知らないわけじゃないかも知れないけれど――男三人に取り囲まれた。
これが、三人ではなく一人ならば「きゃ〜♥ 言い寄られる予感⁉︎」とか喜べたかも知れないけれど、三人一気に、は明らかにおかしい。
鏡花だって馬鹿じゃない。
すぐに意図的に足止めされていると勘付いた。
自分一人だけなら強い態度に出て振り切るのも有りなのだが、会場内にくるみを残してきている。
下手なことをしてくるみに何かあったら、実篤に合わせる顔がないではないか。
それに、(もしかしたらくるみちゃん目当てでの足止めかも知れん)とも思った鏡花は、何とか会場に戻ってくるみと合流したくて堪らなかったのだけれど――。
敵も、三人ともなるとさすがに手強くて。
何とかして、どこかで忠犬よろしく「待て」をしているはずの愚兄と連絡が取れんもんじゃろうかと歯痒い思いの鏡花だ。
それにしても――。
栗野家の男たちは一八〇センチないからそんなに威圧感がないけれど、コイツらみんな一九〇センチ近くない? デカすぎじゃろ!と、壁のような体躯にイライラが募る。
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