6-4.焼けぼっくいに火はつくか?

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「――っ⁉︎」  どう考えても盛り上がってなどいないのだけれど。 (えっ? えっ? 鬼塚くんが何で?)  くるみの元カレの登場&かなり強引な手繋ぎと言うインパクトの方が勝って、鏡花(きょうか)は言葉に詰まってしまう。  友人の元カレという贔屓目(ひいきめ)ではないけれど、四人の男達の中でダントツにスタイルが良くて、オマケに顔が良い鬼塚に手を引っ張られながら振り返り様ニコッと微笑まれて、さすがの鏡花もクラリときてしまいそうになった。  だけど――。 (絶対コイツが黒幕!)  直感的にそう思った鏡花だ。  そもそもあんなにディフェンス完璧だった、屈強なラガーマンのような男衆三人が、優男(やさおとこ)にしか見えない鬼塚にすんなり道を開けたのだって不自然ではないか。  ――顔のええ奴に、女の子を大事にする男はそうそうおらん!(そう言う男の代表格。プレイボーイの八雲(やくも)(にい)談!)  その点、長兄は見た目はな分、中身だけは滅茶苦茶(ぶちくそ)ええけん、と思ったことは内緒だ。  そもそも高校生の頃にだって殆ど話したこともないのに、いきなり「鏡花ちゃん(名前呼び)」は馴れ馴れし過ぎて好かん!とマイナス評価を覚えつつ。  恐らく一般的な女の子なら、顔のいい鬼塚に下の名前で呼ばれたりしたら「きゃー、特別視されちゃった♥」とコロリと行くんだろう。  だけどお生憎様(あいにくさま)。  幼い頃からやり手の八雲の手練手管を嫌と言うほど見せつけられて育った鏡花だ。  どうせ裏があるんじゃろ?と、表向きは笑顔を貼り付けたまま、警戒を怠らない。
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