6-4.焼けぼっくいに火はつくか?

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* 「それにしてもくるみちゃんの元カレ。ホンマ何考えちょったんかね」  兄の不平不満をかわそうと、何の気なしに鏡花(きょうか)が言ったら、くるみがにわかに顔を曇らせる。 「ごめんね、鏡花ちゃん。うちがちゃんとしとらんかったけ、鏡花ちゃんまで巻き込んでしもぉーて」  しゅんとするくるみに、鏡花は慌てて言葉を継ぎ足した。 「あの男と何があったんかは知らんけど……怖いことされた側が悪いなんてことは絶対にないけん。そんな(そんとな)顔せんの!」 「そう(ほう)よ。あんな(あんとな)男のためにくるみちゃんが(くろ)ぉなったり罪悪感みたいなん感じる必要、微塵もないけぇ」  鏡花の言葉に実篤(さねあつ)がすぐに被せてきて、言葉だけでは足りないみたいにくるみをギュッと抱きしめた。  その瞬間、くるみの表情がホッとしたように(やわ)らいだのを見逃さなかった鏡花だ。  いつもなら、長兄が目の前でそんなことをしようものなら即座に「気持ち悪い」と批難する鏡花だけど、今回だけは友人の反応に免じて大目に見ることにした。
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