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「それにしてもくるみちゃんの元カレ。ホンマ何考えちょったんかね」
兄の不平不満をかわそうと、何の気なしに鏡花が言ったら、くるみがにわかに顔を曇らせる。
「ごめんね、鏡花ちゃん。うちがちゃんとしとらんかったけ、鏡花ちゃんまで巻き込んでしもぉーて」
しゅんとするくるみに、鏡花は慌てて言葉を継ぎ足した。
「あの男と何があったんかは知らんけど……怖いことされた側が悪いなんてことは絶対にないけん。そんな顔せんの!」
「そうよ。あんな男のためにくるみちゃんが暗ぉなったり罪悪感みたいなん感じる必要、微塵もないけぇ」
鏡花の言葉に実篤がすぐに被せてきて、言葉だけでは足りないみたいにくるみをギュッと抱きしめた。
その瞬間、くるみの表情がホッとしたように和らいだのを見逃さなかった鏡花だ。
いつもなら、長兄が目の前でそんなことをしようものなら即座に「気持ち悪い」と批難する鏡花だけど、今回だけは友人の反応に免じて大目に見ることにした。
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