897人が本棚に入れています
本棚に追加
こんなヘタレでも実篤は一応従業員を何人も抱えた社長だ。
こういう誤解やわだかまりをそのままにしていたらいいことにはならないと、経験から熟知している。
だからこそ、〝今〟話さなければ意味がないと判断した。
実篤はくるみをベッドに座らせると、彼女の前にひざを折るようにかがんで視線の高さを合わせる。
そうしてそのまま真正面からくるみをじっと見つめると、「俺ね――」と言葉をつむいだ。
くるみは実篤の言葉を聞いて、見る間に大きく瞳を見開いて。
もともと潤んでいた目から、ポロポロと大粒の涙をこぼした。
そうして泣きじゃくりながら、「実篤さん、うち、実篤さ、んが大、好き……です」と途切れ途切れに訴えてくる。
実篤はそんなくるみを抱きしめて、
「俺もくるみちゃんが大好きよ。――今からそれを、嫌っちゅうほど分からせちゃげる」
言って、くるみの小さな身体をそっとベッドに押し倒す。
くるみが小声で「待って、実篤さっ、先にお風呂……っ」と実篤を見上げて懇願してきたけれど、「終わってからでいいよね?」と畳みかけて、尚も往生際悪く「でもっ」と抗議するくるみの唇を塞いだ。
最初のコメントを投稿しよう!