6-5.小悪魔の不安と、ワンコ狼の本音*

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それでも(ほいじゃけど)、外とか……隣の部、屋と、かに声っ、聞かれたら恥ずかし……、――あ、や、ぁぁっ」  くるみがそんなことを言ってソワソワと実篤(さねあつ)を見上げてくるから、 「旅の恥はかき捨てっちゅうじゃろ?」  実篤は思わず彼女が話し終わらないうちにグッと腰を深く沈めたくなってしまった。  くるみの良いところに当たるようわざと角度を調整して突き上げれば、くるみが「ひゃぁんっ、実篤さ、そこダメぇっ」と眉根を寄せて中にいるをキュウッと締め付けてくる。  突然の攻めに思わず(あえ)いでしまって頬を上気させたくるみが、「旅なんてしちょらん、のにぃっ」と抗議の声を上げた。  それはそうなのだけれど――。 「けど、家とかじゃないけん、隣におる人なんて今夜限りの関係じゃろ? 気にすることないって思わん?」  基本ヘタレわんこの癖に、くるみが及び腰になると内側に隠れた狼が時々顔を出す。  実篤はベッドの上だと今みたいにSっ気を滲ませることがままあって。  困る!と頬を膨らませてみせたりもするけれど、くるみはそんな自分の豹変ぶりを、実は結構好いくれているように感じる実篤だった。
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