6-5.小悪魔の不安と、ワンコ狼の本音*

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*** (実篤(さねあつ)さんの寝顔、ホンマいつ見ても可愛い過ぎて困るん(やれんのん)じゃけど)  目が開いていると、キリリとした――ともすると睨まれているような印象さえ受ける実篤の三白眼だが、今みたいに目を閉じているとひたすらに優しい印象しかない。  くるみは実篤の鋭い目つきもたまらなく好きだけれど、今みたいに無防備な寝顔の柔らかな印象もまた、ギャップ萌えで凄く愛しいと思う。  あばたもえくぼと言う(ことわざ)があるが、それは何も愛らしい相手に対してのみ発動する感情ではないらしい。  好きになった相手ならば、それが例え多くの他者(ひと)にとって強面(こわもて)の年上アラサー男だろうが、関係ないみたいだ。 (朝目が覚めた時、大好きな人がすぐ傍に()ってくれるん、何て幸せなんじゃろぉ……)  自分が実篤の家へ泊まりに行ったり、逆に彼がくるみの家まで泊まりに来てくれたりするたび、くるみはいつもそんな事を思う。  基本的に早起きの習慣が身体に染み付いているくるみは、休日だってお寝坊さんではない。  目覚ましを掛けていなくても三時過ぎに自然と目が覚めてしまうのは、ある種の職業病だろうか。 (それでも(ほいじゃけど)――)
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