6-5.小悪魔の不安と、ワンコ狼の本音*

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 実篤(さねあつ)と一緒にいると、どうしてもいつもより夜更かしをしてしまうから、常のように目が開くと同時にシャキッと活動開始!とはいかなくて。  ふと見上げた先、枕元のデジタル時計はいつもの起床時刻の三時過ぎを四時間以上オーバーして七時半を回っていた。  にも関わらず、未だとろとろとした微睡(まどろ)みの中、愛しい恋人の温もりを感じながらもうちょっとこのまま……とか思ってしまう理由は明白だ。  一糸まとわぬ姿で布団の中。  情事の痕跡が色濃く残るキスマークだらけの胸元を見下ろして、くるみは抜け切らない疲れの原因に思いをはせて一人赤面する。  きっと目の前で幸せそうな寝息を立てている実篤も、くるみと似たような気怠さを抱えて目覚めるだろう。  毎日会えるわけじゃないからか。  どうもそういう艶めかしい事になってしまうと、つい夜通し求め合ってしまい――。寝落ちする頃には空が白んでいるなんて事もざらなのだ。  そういう時は、さすがにいつもの起床時間にから、今みたいに七時過ぎまで目覚めなかったりして。  今日は違うけれど、ぴったりと密着した下腹部に実篤のものを受け入れたまま寝落ちしている事もままあるのを思い出したくるみは、一人その時の感触を思い出してより一層照れてしまう。  実は先程から下肢の辺りに実篤の張りつめた熱を感じる気がするのだけれど、これは男性としての朝の生理現象だろうか、それとも……?
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