7-1.過日吐露した必要不可欠なアレ

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(くるみちゃんの口ぶりからして……俺がそのことを知らんかったなんて思うちょらんよな)  そう気が付いたら、こんな嬉しそうなくるみを前にして『ホンマは俺、くるみちゃんと二人っきりで年越ししたいんじゃけど』なんて本音、言えるわけがないではないか。 「昼過ぎ頃、俺がくるみちゃん()まで迎えに行くけん、家で待っちょって?」 *  そんなこんなで結局鈴子(すずこ)の思惑通り、大晦日(おおみそか)の夜は実篤(さねあつ)の家でくるみも交えて家族みんなで過ごした。  夕飯後、二十三時頃までトランプやボードゲームでワイワイ盛り上がってから、例年通り年明け目掛けて近所の神社に徒歩で参拝しようという話になって――。 「きゃー。くるみちゃんと初詣(はつもうで)とかっ。何か凄い(ぶーち)ワクワクするんじゃけどっ♥」  兄であり、眼前の友人のでもある実篤を押し退けて、鏡花(きょうか)がくるみの右手を握る。  そればかりか――。 「俺も! 今年もまた家族だけで(もう)でるんじゃろうなぁ、つまらんのぉーって思いよったけん、こんな可愛い女の子も一緒とか、願ったり叶ったりなんじゃけど!」  鏡花が握っていない方の手をギュッと握って、八雲(やくも)までもがくるみににっこり微笑み掛けるとか。
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