7-1.過日吐露した必要不可欠なアレ

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「プレートはどれを選ぶつもりなん?」  くるみと一緒にメニューを覗き込みながら聞いたら、「どれも美味しそうで迷うちょるんですけど……」とつぶやいたくるみが、「うち、甘酢が好きなんで、海老と揚げ茄子のにしてみます!」と、まるで清水の舞台から飛び降りるみたいな神妙な面持ちで、真ん中の写真を指さす。 「ほいじゃあ(それじゃあ)俺は湯引きポン酢にしようかのー」  何気なく言った実篤の言葉に、くるみが名残惜(なごりお)しそうに生姜焼きの写真を撫でたのが目に入って。  それに気付いた実篤は思わず続けていた。 「――それと、腹減ったけん、単品で生姜焼きも頼もうかな。一人で食うには多過ぎるけぇ、くるみちゃんも加勢してくれるじゃろ?」  恐らく今の自分達みたいに候補を絞りきれない客への配慮だろう。  単品メニューでライス抜きのおかずのみが頼めるようになっていた。
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