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「こう言う風にお店が独立したジュエリーショップとか……うち、初めて入ります」
実篤に腰を支えられて、くるみがソワソワした様子で自動ドアの前に立った。
恐らくくるみはショッピングモールなどにテナントとして入ったお店にふらりと立ち寄ったことはあるけれど、こんな風に一つの店舗として展開しているような貴金属店には入ったことがないのだろう。
ドアが開くと同時、「いらっしゃいませ」と、こちらへ視線を投げてきた店員らから一斉に声を掛けられて、くるみが緊張のためか小さく身体を跳ねさせたのが分かった。
「俺がついちょるけん、そんとに固ぉならんでも大丈夫よ」
クスッと笑ったら「こ、怖がっちょるわけじゃないですっ」と、くるみがぷぅっと頬を膨らませる。
それが何とも可愛くて堪らないと思ってしまった実篤だ。
「そうなん? それじゃぁ失礼なことを言うてしもうたお詫びに何かプレゼントさして?」
「えっ」
最初からそのつもりでここにくるみを連れてきた実篤だったけれど、何か理由がないとサラリとプレゼントさせてくれそうにないなとも思っていて。
取ってつけたようにそんなことを言ったら、やっぱり不自然だと思われたらしい。
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