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「うち、そんなに拗ねちょらんですよ?」
ソワソワと不安そうに実篤を見上げてくるくるみに、「俺が寝込んだけぇ、結局クリスマスプレゼントもあげられちょらんじゃん? 初めてのクリスマス、一緒におられんかったお詫びも兼ねちょるんじゃけど?」と言い募ったら、くるみが困ったように眉根を寄せた。
「うちじゃって実篤さんと一緒におられんかったのも、プレゼントを渡せちょらんのも同じです」
「それじゃあ、俺も後で欲しいもんひとつリクエストするけぇ、それでとんとんにせん?」
言ったらやっと。
「そういう事じゃったら」
くるみが小さく頷いてくれた。
***
「本日はどういったものをお探しですか?」
二人の話が終わると見るや否や、一番近くにいたスタッフが話しかけてきて、くるみと実篤を交互に見遣る。
最初からここにくるみを連れて来る気満々だった実篤はともかくとして、何の心の準備もなくジュエリーショップに足を踏み入れたくるみは、その言葉にソワソワと瞳を彷徨わせて。助けを求めるみたいに実篤を振り仰いだ。
「くるみちゃんはピアスとかしちょらんのんよね?」
こちらを小動物みたいな目で不安げに見上げてくるくるみを見下ろして実篤が何の気なしを装って聞いたら、くるみがひょいっとサイドの髪の毛をかき上げて耳を出して見せる。
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