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(ヤバイ。要らんこと考えすぎたけぇか? 何かエッチな気分になってきた……)
こんなラグジュアリーな雰囲気のジュエリーショップで、股間を隠すようにしゃがみ込むわけにはいかない。
実篤は慌てて大好きなくるみから視線を逸らせると、またしても冬で良かった!と厚着なシーズンに感謝する。
(ついでに俺も……)
厚手の上着のお陰で、ちょっぴり反応してしまった下腹部の盛り上がりが隠せているのは不幸中の幸いだ。
これでくるみが薄着だったりしたら、絶対まずかった。
(今はハイネックに隠れちょって見えんけど……くるみちゃんの首筋、ホンマ細ぉて女の子らしいんよなぁ)
年末年始は結局実家で。
のべつ幕なしほぼ家族と一緒だったから、くるみと思うようにイチャイチャ出来ていない。
要するに完全に欲求不満だ。
これはもう――。
(地元じゃないけ、土地勘はないけどスマホで探せば何とかなるよな?)
「――ねぇくるみちゃん。アクセサリー選び終わったら付き合って欲しい所が出来たんじゃけど、いい?」
下心を懸命に押し隠して問いかけた実篤に、くるみがキョトンとする。
そりゃあそうだ。唐突過ぎる。
「あんね、俺、喉から手が出そうなくらい欲しいもんが決まったんよ。そのために、なんじゃけど」
そんなくるみに理由を伝えたら、ぱぁっと瞳を輝かせて「もちろんです!」と答えてくれた。
実篤は心の中でぼそりと(ごめんね、くるみちゃん)と謝っておいた。
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