7-1.過日吐露した必要不可欠なアレ

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*** 「うち、こういうトコ、初めて来ました!」  上着を脱いで入り口付近にあったハンガーに掛けるなり、興味津々と言った様子で部屋の中を見回すくるみに、実篤(さねあつ)は心の中『俺も!』と元気よく付け加える。  今まで付き合ってきた相手は年上の女性ばかり……。  実家住まいの実篤の自宅は無理でも、相手が一人暮らしをしていたから。  ラブホテルになんか、とんと縁のなかった実篤だ。  でも、だからと言って年上の男として〝慣れていない感〟を出すのがはばかられて隠してしまったけれど、内心(システムが分からんかったらどうしよう)とソワソワしていたりする。  幸い今のところ〝男の沽券(こけん)〟も〝年上の威厳〟も何とか取り繕えている実篤だったけれど、いつどこでボロが出るか分からないので冷や冷やものだ。  別にくるみのことだから正直にネタバラシしたところで実篤のことを馬鹿にしたりはしないだろう。  でも、まぁそこは一応男としてのプライドがあるから。 「俺もけん慣れんわ」  『実際は経験値ゼロです、ごめんなさい!』と心の中で謝りながら、実篤は〝そんなにたびたび来たことはない〟と些細な見栄を張ってしまった。
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