898人が本棚に入れています
本棚に追加
/470ページ
「フルーツ以外でよくあるんはバラとかカモミールとかラベンダーとか……森の香りやらでしょうか。うち、ミルクの香りとか桃の香りも結構好きでしょっちゅう探すんじゃけど……イチゴは初めて見ました」
言いながら入浴剤の袋を矯めつ眇めつするくるみに、
「言われてみたらホンマ変わり種じゃね」
何の気なしに言ったら、「じゃけど……これはこれで美味しそうでええですね」とニコニコされた。
(うん、甘い香りのするくるみちゃん、絶対美味しいって思うわぁ)
ご機嫌なくるみを見てそんな邪なことを思っているだなんて、口が裂けても言えないなと思った実篤だったけれど。
「うち、イチゴの香りの実篤さん、美味しそうで食べてしまいたくなりそうですっ♥」
実篤が言えなかったことをさらりと言って、くるみがクスクスと笑うから、ギリギリのところで踏みとどまっていた実篤の理性がとうとうポン!と弾けてしまった。
「くるみちゃんっ」
目の前のくるみをギュッと腕の中に抱き締めると、性急に愛らしい唇を塞いで。
「あ、んっ、実篤、さっ……」
入浴剤を手にしたまま胸元にギュゥッとしがみ付いてくるくるみが可愛くて堪らなくて、気持ちがどんどん昂ってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!