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「家でこんなんやったら凄い後悔するっちゃね」
浴槽からお湯が溢れてこんなに駄々漏らしてしまって。
水の無駄遣いをしてごめんなさい、と思いながら実篤が苦笑したら、くるみも「……確かにすっごい罪悪感です」とぼんやりした様子でほわん、と答える。
くるみの家も実篤の家も、建物自体はとても古い日本家屋だが、お風呂場はリフォームしてあって、お湯張りは自動で出来るようになっている。湯量だって予め設定してある量に達したら勝手に止まるし、こんな風に自分で止めないとお湯が溢れる風呂は久々だった。
さんざん擦って揉んで食んで……舌先で転がしたくるみの胸は、ほんのりと赤みがさしていてちょっぴり痛々しくて。
さすがにあんなに執拗に触れてしまったら、くるみの柔肌に傷をつけかねない。
(気ぃ付けんといけんな)
なみなみと満たされたお湯を洗面器ですくい上げては、キスマークまみれのくるみの滑らかな肌に掛けてやりながら、実篤はそんなことを思う。
若いくるみの肌は掛ける端から湯を跳ね返して、つるりと輝いて見えるから。
(若い子の肌ってホンマすごいのぉ)
小さく吐息を落としながら、『ねぇ実篤。知っちょる⁉︎ 年を取ったら、肌がお湯を吸うようになるんよ! 若い頃みたいに弾かんくなるの!』と母親が力説していたのを思い出した実篤だ。
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