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そこでふと、くるみから飛び散った水気が自分の肌を伝うのを見るとはなしに見て
(まだ大丈夫……だよな?)
なんてことを思ってしまった。
もっと湯を使って減らしてからでないと、泡風呂は楽しめそうにない。
「先に身体洗うてからジャグジーを楽しもうか」
実篤がポツンと言ったら、くるみがぽやんとした声で「はい」と答えて。
ベッドでやり過ぎたからだろうか。
くるみは未だにぼんやりとした雰囲気のまま。
まだ達った余韻から抜け出せていないのかも知れない。
(まぁその方が好都合か)
下手に恥ずかしがられてもやりづらい。
実篤はアメニティの中にあったペタンコに圧縮されたスポンジの封を切ると、押しつぶされた板のような白いものをお湯でもみほぐしてふんわりさせながらそんなことを思う。
膨らませたばかりのスポンジにボディソープをたっぷりつけて揉んだら、すぐにきめの細かい泡が立った。
どうやらこちらは桃の香りのようだ。
ホテルの名称が『フルーツバスケット』だったことを思い出した実篤は、もしかして泡風呂用の入浴剤がイチゴだったのも、店の名にちなんでいたのかな?とどうでもいいことを思う。
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