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「俺が綺麗に洗ぉーちゃげるね」
ふわふわに立てた桃の香りの泡で背中をそっと撫でると、くるみが「んっ」と小さく漏らして。
その吐息が色っぽくて、スポンジ越しではなく直に撫でまわしたくなってしまった実篤だ。
欲望のまま、スポンジは泡を作るためだけに使って、さわさわとくるみの身体を手のひらで撫でまわしたら、そのたびにくるみが甘い声をこぼすから。
当然というべきか。実篤の下腹部で、息子さんがまたしてもスタンバイOKだと訴えてきた。
(いやいや、ダメじゃろ。俺も身体洗わんといけんのに)
実篤は、最低でも泡風呂に浸かるまでは我慢せんと、と思う。
くるみに触れるのも大概にしないと、まだ意識のハッキリしていない彼女を再度追い上げ兼ねないではないか。
そう思った実篤は、「前は自分で洗えるじゃろ?」とくるみに声を掛けて、泡まみれのスポンジを渡して。
自分は素手で適当に泡立てたボディソープを使って、かなり雑な手つきでガシガシと身体を洗う。
そんな実篤の前でくるみがふわふわした様子で自分の身体を清めているのが見えるから。
(くるみちゃん、早ぉ帰って来て)
実篤は自分が彼女をそうしてしまったことを棚上げして、そんなことを願った。
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