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「……く、くるみちゃんっ! 折角じゃし、お湯! お湯につかろうやぁ!」
下腹部の方でぐわりと天を突く勢いでカチカチにそそり立った息子が存在をアピールしまくってくるから。
そこからなるべく意識を逸らせるようにしながらくるみの身体をそっと自分から引き離したら、くるみが「あれ? なんか当たった……?」とつぶやいて視線を下向けそうになって。
実篤は慌てて「い、一番風呂頂きぃーっ!」とお湯に逃げ込んだ。
「あー! 実篤さん、ずるいです! うちの方が先に入りたかったんに」
途端くるみがぷぅっと頬を膨らませてそろりとお湯に入ってきた。
「髪の毛、上げんでもえかった?」
身体を洗うために湯を掛けた時点で結構濡れてしまっているので今更な気もしたけれど、一応聞いてみた実篤だ。
「ん、もういいんです。ぼやぁっとしちょったら結構濡れてしもうちょったし」
くるくると濡れた毛先を指に巻きつけながら「上がったらドライヤーします」と実篤を見詰めて。そこでハッと何かに気付いたみたいに「あ……」とつぶやいて大きく瞳を見開いたくるみだ。
実篤の目の前で髪をいじるくるみは、受け答えもしっかりしてきたし、何より目がトロンとしていない。
(やっとくるみちゃんが帰ってきた!)
そう思って喜んだ実篤だったけれど。
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