3.月が綺麗ですね

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 そのまま両頬をムギュッと挟まれて、下からじっと見上げられてから、 「確かにパッと見はそうかも知れんですけど……実篤(さねあつ)さんは目がすっごぉーく(ぶぅーち)優しーんですっ! うち、実篤(さねあつ)さんのお顔、大好きですよ?って言っちょるのに……まだ信じられんのん?」  と言われたら、照れと恥ずかしさでますます顔がフニャリと崩れてしまう。  自信がなくてつい「俺の顔って怖いじゃん?」が口癖になっていて、実篤(さねあつ)がそうこぼすたび、くるみはそれを全否定してくれていたのだけれど。  こんな風に〝目が優しい〟だの〝大好き〟だの間近でまくしたてられたのは初めてだったから、実篤(さねあつ)は物凄くソワソワしてしまった。 (いや、いや、いやっ! そうじゃなくっ!) 「くっ、くるみちゃんっ!」  何ら悪びれた風もなくふわっと微笑んでそんなことをして、スパーン!と言い切るくるみに、思わず真っ赤になって周りをキョロキョロと確認してしまった実篤(さねあつ)だ。  実は実篤(さねあつ)、あの祭りの後からおよそ一年をかけて、くるみとは何だかんだで〝良いお友達〟になれている。  だが、親しくなればなるほど、くるみの屈託のない物言いに惹かれるとともに、時折どうしようもなく羞恥(しゅうち)プレイを強いられるようになってしまったのも事実なのだ。
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