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「い、いやっ。違うんよ、くるみちゃん。『今日は用があるけぇ申し訳ないけど残業は出来ん』っちゅうたら……みんなが変に気ぃ遣ぉーてくれて。『じゃったら』って昼過ぎに追い出されただけなんよ。ホンマにそれだけじゃけ、信じて?」
「……それじゃったら尚のことどうしたん? 今日は迎えに来てくれた時から何か様子がおかしかったし……。お店へ入ってからは一層上の空じゃったじゃろ? うちがなんぼ美味しいねって言うても生返事ばっかりじゃったし」
そこで眉根を寄せたくるみから、「ひょっとして……うちとおるん、楽しゅうない?」と聞かれた実篤は、思わず手にしていたフォークを皿に取り落として「違っ!」と席を立ち上がってしまっていた。
途端周りの客の視線が一斉にこちらへ集中して、慌てて席に着き直して。
騒がして申し訳ないと周りに視線を流したら、皆実篤の顔を見るなり「ひっ」と悲鳴を上げて視線を逸らしてくれた。
脅すつもりなんて微塵もなかったし、申し訳なさが募った実篤だったけれど、今は正直ギャラリーのことなんてどうでもいい。
「ね、くるみ。そんなわけないって分かっちょるじゃろ? 俺はキミととおるんが一番楽しいし、何よりも幸せなんに。出来たらこのままずーっとずーっとくるみちゃんと一緒におりたいし、何なら死ぬまで一生キミの顔を見続けたいって思うちょる。朝もくるみちゃんの横で目覚めて夜もくるみちゃんの顔を見ながら眠りに就きたいんよ……。俺がどんだけキミのことを好きで好きでたまらんか分かっちょるくせに……俺の気持ちを勝手に否定せんで?」
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