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「……? ほいでって……何が?」
『――何がって……流れからいってくるみちゃんといつこっちへ報告しに来てくれるんか?っちゅー話以外なかろーが』
至極当然のように言い募ってきた連史郎に、実篤は「は? そんなにすぐすぐにはならんわ」と溜め息を落とす。
昔からそうなのだが、連史郎はとにかくせっかちな男なのだ。
『母さーん。実篤大丈夫じゃったらしいで? だけどまだ心の準備が出来とらんけぇこっちに来るんはすぐにはならんのじゃと!』
鈴子といい、連史郎といい、この二人には保留ボタンを押すとか通話口を押さえて話すとか言う感覚はないのだろうか。
連史郎が傍にいる鈴子に言っていると思しき言葉も、包み隠さずすべて実篤側に筒抜けで。
「ちょっ、待て、親父っ! 誰が心の準備が出来とらんっちゅーた!」
さすがの実篤も、そう突っ込まずにはいられなかった。だってそうでもしないと、何だか〝男の沽券〟に関わるではないか。
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