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だからだろう。
カレンダーに一番近い位置にいた田岡が当然の流れみたいにカレンダーをめくって。「今年の十一月二十二日は日曜日で友引なんですねぇー。何か最高じゃないですか」と皆を振り返ってにっこりする。
不動産業と言う仕事柄、クリノ不動産の面々は客の引っ越しや土地の売買などと言った、いわゆる人生の転機に立ち合うことが多い。
だから社内にあるカレンダーは、父の代からずっと。毎年あえて六曜が記載されたものを選んでかけるようにしていたのだけれど。
普段からお日柄を気にする仕事をしているからだろう。
田岡も、まだ二十五歳と若いのに、カレンダーを見るなりその日が六曜の何に当たるのかを無意識に見ていて――。
「そういやぁ二月に式を済ましたばっかりの井川さんも、挙式は友引の日じゃったですいね?」
ほぅっと溜め息まじりにそんなことを付け加える。
「その方がみんなに幸せのおすそ分けが出来そうじゃないですか? 現に――」
井川が、田岡から話を振られるなり即座に実篤を見てくるから。
「えっ? 俺?」
実篤はその視線に思わずたじろいだ。
「結構すぐにご利益があったって思いません?」
そんな実篤を見て満足そうにニヤリとした井川に、皆が「ほうじゃね」と笑顔になる。
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