12-1.嵐の前の静けさ*

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 実篤(さねあつ)から「くるみ」と呼ばれるだけで自分の中の〝女〟の部分が焚き付けられるみたいにブワリと燃え上がって、感情がどうしようもなく(たかぶ)る。  口では「イヤ」とか言いながら、心の中では「もっとメチャクチャにして?」と望んでしまうのは、女の(さが)だろうか。  もしもそうならば、実篤を受け入れることの出来る女性(性別)で良かったとくるみは心の底から思うのだ。  そんなくるみに、実篤が彼女の最奥を穿(うが)った状態で動きを止めるから……。  奥の気持ちいいところにずっと触れ続けられているみたいで、快感が高まりすぎて涙があふれる。 「やぁんっ、実篤しゃ、深、い……」  くるみが苦し紛れに抗議の声を上げたのを見下ろして、実篤が吐息交じりにつぶやいた。 「違うよ、くるみっ。くるみちゃんが目一杯感じちょるけん、子宮口が降りてきとるん、よっ」  だからそんな風に感じるのだと言われても、くるみには理解できない。  涙に潤んだ瞳で懸命に実篤を見上げたら、実篤が愛しくてたまらない、という風にくるみのなかに挿入(いれ)たままの欲望の質量を更に増してきた。 「んっ、ダメぇっ。これ以上っ、(おっ)きく……せんでっ」  気持ち良すぎて苦しいのだと、くるみは懸命に訴えたけれど、それすら逆効果。
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