12-1.嵐の前の静けさ*

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 スッと唇を実篤(さねあつ)の指の腹でなぞられたくるみは、その指に誘われて。 「――お願っ、実篤さ、をもっと……ちょぉだい、っ?」  小さく(あえ)ぐようにそう答えたと同時、ギリギリまで引かれていた実篤の欲望が、再度深く深くくるみを貫いた。 「ひゃ、ぁぁ――っ!」  途端くるみの身体がビクッと跳ねてシーツの上、弓なりにのけ反った。実篤はその痙攣が落ち着くのを待って、ゆっくりと抽挿を開始する。 「あっ、やっ、んっ、……さね、あつさっ、うち、今、イッたけんっ。こ、れ以上はっ。……怖い、んっ。……や、あぁっ」  くるみは途切れ途切れ。実篤に少しの間動かないで欲しい、休ませて欲しいと懇願(こんがん)したのだけれど。  実篤はそんなくるみを見下ろすようにして、膣内(なか)の具合を確かめるように腰を動かすのをやめようとしてくれない。 「くるみ、何回イッてもええん、よ? 俺がっ、ちゃんと捕まえておいてあげる(ちょいちゃげる)けんっ。……怖がらんでもっ、大丈夫、じゃけっ。膣内(なか)で、もっと……俺を、感じてみせてっ?」  まるで尚も一層くるみのことを乱れさせて前後不覚に(おちい)らせたいのだとでも言わんばかりの実篤の口振りに、くるみはどうしたら良いのか分からなくなる。  無意識、実篤へ向けて「しっかりと捕まえていて欲しい」と言わんばかりに両腕を伸ばしたら、ギュッと抱き起こされ、彼の身体を両足で挟み込む格好で向かい合わせに抱き寄せられた。  自重で繋がりがさらに一段と深くなったのを感じてしまったくるみだ。  実篤の先端が、くるみの奥の奥。たまらなく気持ちいいところに触れているのを感じた。  そのまま強く抱きしめられたまま、下から揺さぶられ、突き上げるようにされて高みへと昇らされていく――。  くるみの膣内(なか)。実篤の熱く(たぎ)った分身がびくびくと震えて膜越しに欲望を放ったのと、くるみが全身を震わせて再度()ったのとがほぼ同時で。  ゆるっと弛緩して全身の力が抜けきってしまったくるみが背後へ倒れそうになるのを、実篤の逞しい両腕がしっかりと抱き留めた。
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