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テーブルの上。
ケーキの入った箱をそっと開けてみたら、中身は無事だった。
三つ入っているケーキたちが、スペースの余った箱の中で動いたりしないためだろう。
ケーキ屋が、あらかじめ丸めた厚紙を二個、ケーキのそばにテープ留めして倒れにくくしてくれていたのが功を奏していた。
「良かった。倒れちょらんかったよ」
実篤がくるみの方を振り返って言ったら、すぐ横からヒョコッと箱の中を覗き込んだくるみが「やんっ。実篤さん! 何ですか、これ! 凄い可愛いっ!」と悲鳴に似た驚嘆の声を上げた。
「うん。可愛ゆぅて、くるみちゃんにぴったりじゃろ?」
箱の中にはチョコレート生地と思しき小さめのロールケーキが三つ並んでいた。
ロールの真ん中には生クリームがたっぷり入っていて、生地に巻かれていびつな勾玉模様を描いている。
だけどそれはただのロールケーキではなくて。
アーモンドを持ったリス型の愛くるしいクッキーが、ロールケーキにペタッと貼り付くように配置されているから。
美味しそうなふわふわロールケーキ尻尾を持ったリスたちが、箱の中に三匹並んでいるように見えるのだ。
しかもリス型のクッキーに描かれた顔がひとつずつ違うから、それがまたいい味を出していて。
「あぁーん! ホンマ、滅茶苦茶可愛いです! 何か食べるんが可哀想になるくらいっ」
くるみが何度も角度を変えては箱の中のリスたちを覗き込む。
そのチョロチョロひょこひょこと動き回る様が小動物そのものに見えて、実篤は(くるみちゃんの方がリスみたいで可愛いけん)と、一人心の中でクスッと笑った。
そういえば初対面の時にもくるみのことを〝リスみたいにちっこくて可愛い子じゃな〟と思ったのを思い出した実篤だ。
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参考にさせて頂いたリスさんロールケーキをエッセイ783頁に載せています。
https://estar.jp/novels/25912145/viewer?page=783
滅茶苦茶可愛いのでもし気になられましたら是非♥
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