12-2.思い立ったが吉日?

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「あ、あのっ。……うち、さ、実篤(さねあつ)さんにも指輪を」  現状を思い出したくるみが、慌てたようにしどろもどろで言って。  実篤も、いい年して馬鹿ップル丸出し展開になってしまっていた自分を殴りたいくらい恥ずかしくてたまらなくなる。  結果、テンパり過ぎて「お願いします!」とまるで告白番組のひとこまみたいにくるみに向かってを突き出していた。 「さ、実篤さんっ、……手、……逆です」  くるみがますます小さく縮こまってそうつぶやくから。  実篤も真っ赤になってうつむいて。  おずおずと差し出し直した左手に、くるみがそっと指輪をはめてくれる劇的瞬間がほとんど頭に入ってこなかった。  結局そのまま指輪はお互い指にはめたまま宝石店を後にしたのだけれど。 「ヤバ……」  店を出たと同時、実篤が思わずそうつぶやいたら、それに重ねるようにくるみが「何かうちら、すっごく(ぶぅーち)! 恥ずかしかったですねっ」と実篤の手をギュッと掴んできた。  その指にキラリと光る指輪を見て、実篤はふっと肩の力が抜ける。 「……あんね、くるみちゃん。出来たらこのまま……、その……こ、婚姻届けを出しに行きたいんじゃけど……ダメ……かな?」  書類自体は結婚を決めて程なくして、いわゆるお守り替わり。二人で書いて、ちゃんと準備してあった。  証人欄は天涯孤独な身になってしまったくるみのため、実篤の両親がきっちり埋めてくれている。  それを鞄の中から取り出した実篤に、くるみがキョトンとした顔をして。 「やっぱりダメ……じゃろーか?」  そのままフリーズしたみたいに固まって何も言ってくれないくるみに実篤が不安になり始めたころ。  くるみがキュッと実篤を掴んだままの手に力を込めてきた。
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