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9月21日の夜。
「こんばんは。栗野です」
くるみからのメッセージにあった場所までスマートフォンにナビをさせてたどり着いてみたら、やっぱり民家で。
建物は古いけれど、インターフォンだけは今風で、チャイムを鳴らすと機械越しに家人と会話することが出来るようになっていた。
「お待ちしちょりました」
実篤の姿を確認したからだろうか。
家の中からいつも通りの三角巾にエプロン姿――とはいえ今日はトレードマークのエプロンが、いつものショート丈のサロンエプロンではなく、胸当てエプロンだった――のくるみが出てきて、いとも容易くに鍵を解くと、玄関扉をガラガラと開けてくれる。
(くるみちゃん、もっと警戒心持たんと!)
と内心冷や冷やの実篤だったけれど、田舎は基本玄関に鍵さえ掛けずに常にオープンにしている家も多い。
それを考えると施錠してあって、インターフォン越しに相手が確認出来るようにしてあるだけマシなのかも?とも思った。
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