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くるみと実篤の家がある御庄地域には、錦川水系の二級河川、御庄川が流れている。
岩国一の山岳として知られる高照寺山を水源として北へと流れるこの川の途中には、治水ダムの御庄川ダム(五瀬ノ湖)があり、支流・古宿川を合わせて御庄橋付近で錦川へと注ぐ川だ。
錦川ほど滔々と水をたたえているわけではないけれど、雨が降ったりするとそれなりに増水する。
そんな御庄川沿いに軒を連ねているくるみの実家は、大雨に対して排水が間に合わなくなると内水氾濫が起こりやすい危険地域として、市が発行するハザードマップに載っていた。
店仕舞いと台風に備えた養生をして、さぁ帰ろうかと皆で外へ出たら、目の前の国道一八八号線がちょっとした川のようになっていて――。
水を跳ね飛ばしながらも車が走れているところを見ると、自動車が走れなくなると言う水深一〇センチの壁はまだ超えていないようだが、ぱっと見すでに三センチくらいにはなっていそうに見えた。
近くのグレーチングや側溝に水が入りきらずに深く溜まっているのを認めて、実篤は排水許容量を超えたな、と思う。
「雨、全然止む気配ないけど……大丈夫じゃろうか」
クリノ不動産がある麻里布町付近には大きな川はない。
そんな地域でさえこれ。
市内にいくつも流れている川に面した地域のことを思うと気が気ではない。
実際、我が家がある御庄地区だって例外じゃなかったから。
河川が氾濫したとかそういう情報は入っていないだろうかとふと心配になった実篤は、無意識にそうつぶやいていた。
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