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外観がバリバリの日本家屋なのも、扉が洋風ドアではなく和風の引き戸なのも、自分が住んでいる由宇町の生家を彷彿とさせられるようで、何だか親近感を覚えてしまった実篤だ。
表札に「木下」と掛かっているところから鑑みるに、どうやらここはくるみの自宅らしい。
そこまで何の気なしに考えて「ちょっと待って、自宅っ――!?」と思わず大声で叫びそうになった実篤だ。
くるみの家だというなら、天涯孤独の身になってしまったくるみは普通に考えれば一人住まいのはずで。
いくら無防備、天然無自覚なくるみでも、夜に男である実篤一人を招待しているということはない、よ……な?とにわかに不安になってしまう。
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