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(俺には死ぬほど似合うちょらんけどな……)
正直実篤の足にはサイズ的にかなりきつくて、踵が大幅にスリッパからはみ出して落ちてしまっていた。
ダイエット用の健康スリッパに、わざとこんな感じに寸足らずな短いデザインのがあったよなぁ……なんて、昔母親がそういうのを履いていたのを思い出しつつ、苦笑と共に自分の足元を見下ろす。
それにしてもこんな可愛いスリッパを何足も揃えるんは大変じゃろうなぁと思いながら、
「そっ、そう言えば他には誰が来るん?」
と、前を歩くくるみの背中に、何の気なしを装って問いかけた。
古い日本家屋らしく、広い玄関先の土間をちらりと見回してみたけれど、自分が今脱いだ靴以外に客人のものと思しき履物はないように見えて。
まさか改装とかしてあって、見えない所にシューズクロークでもあるんじゃろうか、と思ってしまった。
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