終章.最上級の愛をキミに

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*** 「実篤(さねあつ)さん、壁に穴開けるんはやっぱり忍びないですけぇ、パネルはこのローチェストの上に並べるんでもええでしょうか?」  散々壁にアレコレ試してみたくるみだったけれど、結局はそういう結論に達したらしい。  リビングへ作り付けられたローチェスト上にパネルを並べてから実篤を振り返った。 「ねぇ実篤さん。そう言えばこのローチェストの木材、うちの実家を取り壊した時に出た廃材を利用しちょるんでしたいね? 表面が綺麗に削られちょるけん全然古い木を使(つこ)うちょるようには見えんですけど……何かそれを知っちょると、こうやって触れただけで気持ちがほこほこと(あった)こぉーなる気がします。わざわざうちのために気ぃ(つこ)ぉてもろぉーて、ホンマに有難うございます」  言いながらくるみがうるりと瞳を潤ませるのに小さくうなずきながら、実篤はパントリーに仕組んだをくるみに見せるのは『今だ』と思った。 「ところで。写真のことはひとまず後にして、ちょっとこっちに来ん? 俺、キミに見せたいもんがあるんよ」  ちょいちょいとアイランドキッチンに手をついた姿勢で、リビングのくるみへ手招きをする。  くるみは実篤の招きにキョトンとした顔をしてから、ちょっと迷って。  手にしていた三枚のパネルを作り付けのローチェストの上へ落ちないよう丁寧に伏せて置いた。 「見せたいもんって(なぁーん)?」  そうしてから、こちらへゆっくりと近付いてくるくるみの、気持ち膨らんだお腹を見て、実篤は(これをくるみちゃんへ見せてあげるん、随分(おそ)ぉなってしもうたな)と一人反省した。
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